リールに使うグリスは純正品のみならず、ホームセンターなどで購入できる製品でも代用可能です。しかし素材の相性や使用時のポイントを誤ると、リールの性能が落ちてしまいます。本記事では、代用グリスの選び方とおすすめ製品、そして使用上の注意点を紹介します。
代用できるリールグリスの選び方

耐水性・防錆性能が高いか

- 水分を防ぐ素材
- 塩害に強い性質
- 長期的な防錆効果
釣り場では海水や雨にさらされる機会が多いため、リール内部を錆びから守る耐水性と防錆性能が欠かせません。特にソルトウォーターゲームで頻繁に使用するリールなら、グリスの塩分耐性は重要です。水洗い後も錆びや腐食を防ぐ力をもったグリスを選ぶと、メンテナンスの手間が軽減され、リールを長く快適に使えます。
いいえ。防錆性のあるグリスを使っていても、水洗いは必須です。塩分や汚れを落とせば、より錆びのリスクを抑えられます。
温度変化に対応できる粘度の選択

冬は外気温が5度を下回り、夏は30度を超える環境など、温度変化が大きい季節ではグリスの粘度による巻き心地への影響が顕著です。寒冷地向けに柔らかめのグリスを用いるとスムーズな回転をキープしやすくなり、真夏にはやや硬めを選ぶことで高温下での垂れやすさを防げます。自分の釣行スタイルや釣り場の気温を考慮して選ぶと失敗を減らせます。
シーズンごとに塗り替えるのが理想ですが、どうしても1種類なら中間粘度のグリスが無難です。快適性はやや落ちますが、使いまわしやすいです。
樹脂・ゴムパーツとの相性
- 溶剤の有無
- 素材変形を起こさない
- 互換性の確認
リール内部のパーツには樹脂やゴムが使われていることが多く、強い溶剤を含むグリスを塗布すると変質や劣化を招きかねません。製品表示に「樹脂やゴム対応」と明記されているタイプを選ぶとトラブルを防ぎやすいです。パッケージの注意書きやメーカー公式サイトの情報をチェックし、パーツに優しいグリスを見極めましょう。
変形が軽度なら洗浄後に樹脂対応のグリスに切り替え、状態を様子見してください。深刻な場合は部品の交換を検討しましょう。
適度な粘性(ギア回転・ベアリング用の違いを考慮)
ギアには大きな負荷がかかるため、高めの粘性が摩耗対策になります。ベアリング部分は抵抗を減らしたいので、柔らかめのグリスやオイルを注油すると巻き心地が向上しやすいです。1種類でも対応可能ですが、回転性能を高めたい場合には粘度を使い分けるとより理想的な動きをキープできます。
オイルでも問題ありませんが、防水力や持続力を考えるなら低粘度グリスを併用するのもおすすめです。
金属の種類との相性(アルミ・ステンレスなど)
リールのスプールなどに用いられるアルミは軽量化がメリットですが、海水に弱い一面があります。ステンレスはサビに強い一方で、細部に砂や塩分が残ると回転が重くなりがちです。金属の特性を踏まえたうえで、防食性や洗浄性に優れたグリスを使うとメンテナンス時の負担も軽減できるでしょう。
電蝕を起こす可能性があり、グリスが酸化する恐れもあります。定期的な洗浄と注油で摩耗を防ぐのがポイントです。
実績・評判のある製品を選ぶ
市販されているグリスの中でも、実際に多くのアングラーが使用し高評価を得ているものは安心感があります。製品レビューやSNS、友人からの経験談などをもとに、ある程度実績のある製品を選ぶと失敗リスクを減らせます。トラブル情報が公開されている場合は、どのような点に注意すべきかも含めて確認しておくと良いでしょう。
人によって釣行頻度やリールの種類が異なるので、必ずしも全員に当てはまるわけではありません。試用しながら調整するのが大切です。
代用できるリールグリス8選
AZ 万能グリース(リチウムグリース)

リチウム石鹸基のグリスで、耐摩耗性に優れています。ただし、ゴムや樹脂部品には使用できないため、リールの素材を確認の上、使用してください。
KURE シリコングリースメイト スプレー

フッ素樹脂配合のシリコングリースで、金属やプラスチック、ゴムなど多様な素材に使用可能です。耐水性・耐熱性に優れ、リールの可動部の潤滑に適しています。
KURE シリコンスプレー

無溶剤タイプのシリコンスプレーで、金属、ゴム、プラスチックなどに使用できます。リールの外部パーツやロッドのガイド部分の潤滑・保護に適しています。
KURE ドライファストルブ

フッ素系の潤滑剤で、乾燥後はベタつかず、埃や汚れが付きにくい特性があります。リールの可動部やロッドのガイド部分に適しています。
ダイソー グリーススプレー
手軽に入手できる二硫化モリブデン配合のグリーススプレーです。ただし、使用後にギアが削れたような液体が出てきたとの報告もあり、使用には注意が必要です。
KURE 5-56

防錆・潤滑剤として広く知られていますが、蒸発が早いため、リールのギア部分への使用は推奨されません。錆びが発生した際の応急処置としての使用が適しています。
KURE CRC666

リールのメンテナンスオイルとして使用可能で、コストパフォーマンスに優れています。
AZ ミシンオイル

リールのメンテナンスオイルとして使用可能で、コストパフォーマンスに優れています。
使用時の注意点

適切な量を守る
グリスやオイルをたっぷり塗れば良いというわけではありません。多量に塗ると、汚れを拾いすぎて回転部のゴリ感を招きやすくなります。逆に量が少なすぎると潤滑不足で摩耗が進み、リール内部の寿命を縮めることに。適切な量はリールの取扱説明書や製品表示を見ながら調整しましょう。最後に余分な部分を拭き取るだけでも寿命が変わるので、塗りすぎには特に注意することが大切です。
潤滑力が不十分でギアが噛みやすくなり、回転が重くなったり異音が出たりします。メンテナンス頻度も増えるため、ほどよい量が理想です。
他の潤滑剤と混合しない
メーカーや種類が違うグリスやオイルを、そのまま混ぜて使うのはリスクが高いです。化学反応を起こして粘度や成分が変化し、かえってリールを痛めてしまうこともあります。もし製品を切り替える場合は、一度パーツクリーナーなどで徹底的に洗浄してから新しい潤滑剤を使うようにしましょう。そうすることで混ざり合いによるトラブルを防ぐことができます。
絶対にNGではないですが、お互いの相性が不明な場合が多いため、混ぜない方が安全です。切り替える際は古いものをしっかり落としてからにしましょう。
こまめに洗浄と注油を繰り返す
釣行後の水洗いと、一定回数の釣行ごとにグリスの塗り直しをセットで行えば、リールの摩耗を減らし長期的に快適な巻き心地を保てます。特に海水の影響は大きく、砂・塩分・汚れがギアやベアリングに蓄積しやすいため、異音が出る前に注油すると効果的です。5回から6回の使用を目安にパーツを分解し、パーツクリーナーで古いグリスを除去してから塗布してください。
潮風や微小な砂が付着している場合があるため、数回の使用でも定期的な洗浄・注油がおすすめです。早めの対策が後々のトラブル防止に役立ちます。
まとめ

- 素材との相性を最優先する
- 温度変化を考慮して粘度を選択
- 樹脂・ゴムパーツへ攻撃性がないか確認
- ギアとベアリングの粘度は分けて考える
- 金属の種類によって防錆力も変わる
- 評判・レビューを参考に製品を選ぶ
- 塗り過ぎと混合はトラブルのもと
- 定期的に洗浄・注油して寿命を延ばす
リールグリスの代用品はコストを抑えながら自分好みにカスタマイズできる楽しさがあります。しかし、素材への攻撃性や使い方のコツを守らないと本来の性能を損なう恐れも。ポイントを押さえてメンテナンスすれば、リールを長く快適に使い続けられるでしょう。